どんなものを作っていますか?
平安時代から日本の住宅の「仕切り」を担ってきた「ふすま」。谷元フスマ工飾は、社名のとおり、この「ふすま」をメインとした住空間の間仕切りを企画・製造・施工している会社です。ふすまの他にも、障子やドア、クローゼット、パーテーションといった時代に合わせたあらゆる間仕切りを世に送り出しています。戸建て住宅だけでなく、マンションや団地などの集合住宅、ホテルなどの公共施設でも私たちの製品が使われているんですよ。
会社を一言で表すと
「引き継がれる職人技」と「新しいデザインのふすま」が、当社の面白みの一つだと思います。ふすまを丁寧にメンテナンスすると「100年長持ちする」と言われていますが、そのために必要なのが、“職人の手技”。絶妙な塩梅に加減して、引っ張りながら貼る職人の技をファクトリズムでも見ていただきたいですね。そして、こだわりのプロダクトが、伝統的なふすまや和のテイストを現代的にアレンジしたオリジナルブランド「waccara(ワッカラ)」。引手柄のモダンなふすまをはじめ、マスキングテープやインテリアアイテムなど、現代の暮らしの中に和を感じてもらえる商品を展開しています。また、古い和室を生まれ変わらせるアルミフレーム引き戸『アルマジ』と『ふすまリフォームドア』にも注目してください。当社が開発し、ミリ単位でオーダーできるこちらの製品は、ECサイトでも販路を広げ、リフォーム市場で注目されています。
モノづくりの歴史・ターニングポイント
「一歩先を読む」。私たちのモノづくりの歴史は、そういった先のニーズを見越して、チャレンジしてきた歴史でもあります。私の祖父である初代は、1946年に当社を創業し、1970年に本社工場を建設しました。当時、ふすま屋と言えば商店街の一角で土間を作業場にしていたような商売でしたが、当時は高度成長期の真っ只中。初代は思い切った投資をし、結果的に街のふすま屋から規模を拡大することができました。さらに2代目である私の父は、ふすまの需要が下がる前に、「これからは洋室も増えてくる。ドアもつくるぞ!」と洋室のクローゼットドアなども手掛けるように。初代がつくった生産力と、2代目がつくったドアというもう一つの軸で成長を続けることができました。しかし現在、残念ながらふすまの需要はますます減少しています。このふすまや和のテイストを、現代に合わせた様々な形で残していくことが、これからの私たちの使命だと思っています。
「ものをつくる」ことの楽しみは
これからチャレンジしたいことは大きく2つ。一つは、『waccara』などを中心に、若い人にも好まれるような“ふすまブランド” を確立したいということ。waccaraでは、ふすまだけでなく、マスキングテープやマグカップ、手ぬぐいといったふすまから派生したデザインで様々なプロダクトをつくっています。今後、毎年10月10日のふすまの日に新デザインを発表し、ブランドとしてさらに確立していきます。そしてもう一つは、『アルマジ』や『ふすまリフォームドア』といった古い和室を生まれ変わらせるような機能的な世界をもっと広げていきたいということ。広がりを見せるリフォーム市場で、当社独自の製品であるこれらを大きくアピールしていきたいですね。
作り手の想い -大切にしている考えや価値観-
会社を表現した言葉とつながりますが、とにかく私たちの仕事は、「居心地を良くすること」だと思っています。自分たちがつくったものが、そこに暮らす人の居心地を良くする。その中で、もっと和室に触れていただき、その居心地の良さを知ってもらい、好きになってもらいたい。和室にベッドを置いても、椅子を置いてもいいんです。北欧インテリアとのミックスも素敵です。既成概念にとらわれず、和室の居心地の良さをインテリアの中に取り入れてほしいですね。今後も、居心地を良くするということを軸に、枠にはまらないモノづくりにチャレンジしていきます。皆さんもぜひぜひ新しい和室のインテリアを試していただきたいと思います。
「ものづくり」を引き継ぐために今取り組んでいること
一言で言うと、「居心地の良い会社」。これを目指しています。私たちはふすまやドアをつくって、皆さんに居心地の良い空間を提供している。その私たちの会社が、居心地の悪い場所であっていいはずがありませんよね? ですから、空間だけでなく待遇面や環境面でも居心地の良い会社づくりに注力しています。居心地が良いからこそ、社員一人ひとりが、活き活きと活躍できる。そんな会社にしたいですね。