どんなものを作っていますか?
自動車のエンブレムや輸出用バッテリーに刻印される品番の印字。医療機器の操作ボタンやパネル部分。いつも何気なく目にしているけど、当たり前すぎて気付いてもらえない印刷部品です。でも無いと本当に困ってしまう物。私たちが作っているのはオーケストラのビオラのように目立たないけど無かったら「あれっ?」と思うような物ばかりです。目立たないから無くてもいいんじゃなくて、あるから安心してもらえる物。私たちが作っているのはそんな日常の安心感を作っています。
会社を一言で表すと
困った時の加工の知恵袋。お困りごと相談室です。先代社長はお客様から【駆け込み寺】と言われており、それは今になっても相談室として受け継がれております。どうしたらこんな加工ができるのか?困っているお客様に様々な加工方法をお伝えしております。それができるのも創意工夫を楽しむスタッフがいるからです。そして同じ志を持つ協力会社のおかげで「悩んだらとりあえずニットーへ」そんなお声をいただき、毎日のようにご相談をいただけております。無理矢理印刷にからめるのではなく、最適解をご提案し続ける事が私たち【お困りごと相談室】の存在意義と信じております。
モノづくりの歴史・ターニングポイント
2006年に現在の社長(2代目)が入社。入社時に創業者の印刷事業とは違う個性を出さないといけないのではないかと思案していた時にレーザーマーキングとの運命的な出会いをする。親会社が「レーザー機を貸すから加工を手伝ってほしい」という要請に先代社長が快諾。入社して日の浅い2代目に一任した。1年程作業に従事し、レーザー機を親会社に返却する際に「これからはデジタル機器の時代だ」と思い、2008年に自社でもレーザーマーキング機を複数台導入。あれから16年が経ち、1種類しかなかったレーザーマーキング機も今では材質に合わせて加工分けができるように4種類に展開。新しい印刷技術を提供し続けています。
「ものをつくる」ことの楽しみは
ご依頼によっては複数の印刷工程を重ねていくことにより絵やデザインを完成させる商品があります。工程が進むにつれ徐々に商品に感情が宿るかのような感覚となり、だからこそより丁寧な仕事をしていきます。そして完成品を見た時に全く別物の製品に生まれ変わる、大変だからこそ生み出した喜びはひとしおです。そしてお店やSNSなどでそれを手にした方たちが笑顔をその商品に向けているのを見た時に【挑戦して良かった】と思えます。私たちはこの印刷技術を通して色の付いていない世界を鮮やかにできる、そんなお仕事だと考えています。現状に満足するのではなく【より以上】を求める事がワクワクに繋がっています。
作り手の想い -大切にしている考えや価値観-
お客様が何を求めているのかをしっかり汲むようにしています。それは「この印刷をして」という依頼だけを聞くのではなく、なぜその印刷が必要なのか。そしてそれは印刷でなくてはならない事なのかを考えます。特に開発者やデザイナーの方との打ち合わせはこの感覚を大事にしています。私たちが作った商品は後世に残ります。だからこそ作り手の責任があります。実現可能か心配そうになっていたお客様の顔が、試作の回数を重ねるごとに明るくなっていき、本番の加工品を出荷する時には笑顔で「最高のモノができましたね」と安堵して言ってもらえるようにすること。印刷を通して安心感を生み出せるようにする事が大切な事です。
「ものづくり」を引き継ぐために今取り組んでいること
大量生産、大量消費の時代は終わりを告げようとしています。これからは価値のある物を大切に使い、環境への負荷の低減を図り、地球の保全をしっかり考えていかなければなりません。零細企業だからこそできる立ち居振る舞いがあると考えています。サステナブルな素材が出てきている一方で印刷業界は高負荷の有機溶剤にこだわり続けていくのでしょうか。過剰な要求性能を見直し低負荷の工法を提言する必要があります。その為にも設計開発者やデザイナーの方たちと意見を交えながら責任あるものづくりを進めていきます。人だけではなく地球に配慮したものづくりをしていかないと時代から淘汰されると確信しております。