「最先端の研究」と「愚直な職人技」
“硬さ”の追求から生まれた2つのモノづくり

58_中村超硬

所在地 大阪府堺市西区鶴田町27-27
TEL 072-274-0007
ホームページ http://www.nakamura-gp.co.jp

代表取締役社長/工学博士 井上 誠

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記者からのおすすめポイント

今回のファクトリズムで最も“硬い”素材を扱う中村超硬。「ダイヤモンドのワイヤ!?」「小さな雷で加工する!?」「ナノサイズの結晶化合物!?」といった一般的なモノづくり現場からは聞き慣れないような言葉に、工場好きはきっと好奇心を刺激されるはず。硬い素材を扱う一方、柔軟な発想で様々な新規事業を展開する同社のモノづくりをオープンファクトリーで体感してください。

どんなものを作ってる会社?

私たちは、「より硬い材料に、より高精度な加工を加える」ことで成長してきた会社。現在は、その技術を軸に大きく3つの事業を展開しています。一つは、焼結ダイヤモンド(PCD)や超硬合金、セラミックスといった高硬度材料を用いた、工作機械・産業機械の最も耐久性や精密性が求められる部品の製造。そして2つ目は、「ダイヤモンドワイヤ」の開発・製造。ダイヤモンドワイヤは、細いピアノ線にダイヤモンドの砥粒を固定した糸状の切断工具です。太陽電池や半導体に使用されるシリコンウエハを塊から薄く切り出す「糸鋸」として使用されます。このダイヤモンドワイヤに関しては製造装置の販売も行っており、高性能な装置としては“世界でオンリーワン”だと思っています。そして3つ目は、化学繊維や炭素繊維をつくるための紡糸ノズルの製造。身近なところで言うとマスクなどの不織布、航空・自動車・医療など様々な分野で、このノズルが活躍しています。これらのメイン事業に加え、常に最先端の新規事業も進行していることが特徴です。詳しくは、「これから見据える未来」でお伝えします。

         

ココに釘付け!

最先端の研究開発から、泥臭いモノづくりまで、一見対極に見えることを一つの会社で行っているのが中村超硬。その対比を見てもらうこともポイントの一つですね。そしてやはり、ファクトリズムで見ていただきたいのが、モノづくり現場での“職人の技術”。機械を使っても、モニターの数字通りにはいきません。これまで培ってきた職人の経験やデータで微調整しながら、「これだ!」というものを作るのが職人の技。さらに、研磨作業の仕上げも0.001ミリ(1ミクロン)といった単位で手作業の調整を行っています。また、PCDや超硬を他の素材、例えば鉄などの部品に引っ付ける「ロウ付け」と呼ばれる作業は、すべて手作業。これがまた難しい! 最先端の研究開発と、職人一人一人が持っている感性が活かされるモノづくり。ファクトリズムでは、そんな中村超硬独自のモノづくりに注目してもらいたいですね。

モノづくりの歴史・ターニングポイント

創業者は旋盤職人。ミシンの小ネジをつくる小さな鉄工所からスタートした生粋のモノづくり企業です。その町の鉄工所から、超硬合金を扱うようになり、さらに超硬合金を必要とするベアリング製造業の現場ニーズに対応し、加工だけでなく部品を提案する地域の生産技術屋さんになったのが先代社長の時代。それから後を継いだ私が、「硬さ」をさらに追及し、ダイヤモンドを扱うようになったことが大きなチャレンジであり、ターニングポイントでした。つまり中村超硬の歴史は、モノづくりの受託から部品屋になったこと。そして、鉄から超硬、ダイヤモンドといったふうに、より硬いものにシフトし、その精密加工技術を高めていった歴史でもあります。

これから見据える未来

2004年から産学連携を積極的に活用した研究開発を進めています。ダイヤモンドワイヤは、それが事業へとつながった最初の成果です。そして現在、東京大学と大阪公立大学と共に6年間の研究を経て、これから世に出していこうというのが「ナノサイズゼオライト」。ゼオライトという結晶性化合物をナノサイズ(1mの10憶分の1)という大きさにすることで機能性を向上し、あらゆる用途に使える物質へと変化させたものです。私たちは、こういった新規事業をエネルギー・環境・医療という分野を活躍領域に、約10年ごとのスパンで進め、事業化しています。そして次の10年後、産学連携で花咲かせようとしているのは、薬用タンパク質の材料。守るべきモノづくりのDNAを守りながら、一方で変化し続け、進化し続けていきます。

会社を一言で表すと?

私たちは「挑戦を続ける技術者集団」です。会社の理念でも、「我々はものづくりのエキスパート集団となる」とあるのですが、エキスパートとして挑戦し続けるのが私たち中村超硬です。例を挙げると、ナノサイズゼオライトの事業では、社員が開発と並行して大学で学び、今年2人の博士が誕生する予定です。私自身も58歳の時、再度大学で学び直し、博士号を取得しています。私がSONY出身ということもあり、画期的なトリニトロンカラーテレビやウォークマンを開発したSONYのモノづくり精神を受け継ぎ、堺版のSONYスピリッツのような絶え間ないチャレンジを続けていきます。

つくり手の想い・伝えたいこと

当社がファクトリズムに参加する大きな目的は、私たちのモノづくりを現場で体感していただき、「一緒に挑戦したい!」と思ってくれるチャレンジャーを増やすことです。「挑戦を続ける技術者集団」の一員として、最先端の研究開発に携わる人材、1ミクロンにこだわって職人技を追求し続ける人材。様々な形で中村超硬のモノづくりにかかわり、その分野で挑戦を続けられる人材を育てていきたいと考えています。「中村超硬でチャレンジしたい!」「将来子どもを中村超硬に」そう思ってもらえるようなオープンファクトリーを実現していきます。