どんなものを作っていますか?
主に「クラフトテープ」をつくっております。一般的には、「ガムテープ」と呼ばれるテープです。でも実は、「ガムテープ」というのは切手のように水をつけることにより粘着力が発揮されるテープのことを指します。水をつける手間を省いた「クラフトテープ」の開発、量産に成功したのが私たちです。現在は、”総合粘着テープメーカー”として、梱包用途のテープをはじめ、建築用途の養生テープ、工業用途の両面テープ、農業用途テープなど、多様な用途に応えられる製品をつくっています。その他にも、特定のユーザーさんと共同開発した特注品などもあり、バリエーションは数えきれないくらい豊富なテープを製造しております。
会社を一言で表すと
「とにかく面白いことを追求したい」と思っている会社です。大切にしている価値観は、「面白いかどうか」と「社会貢献」です。製造業では、コストが重要視されがちですが、それだけにとらわれることなく、こういうテープを出したら「めっちゃ面白いやん!」と私たち自身もテンションの上がるものを作りたいということを大切にしています。利益とのバランスも取らなければいけませんが、その上で「この世になかったもの」を作ることで社会貢献ができればと考えています。「面白いもの」だけでは成り立たないかもしれませんが、そういう商品があることで、他の商品も脚光を浴びるのではないかと考えています。
モノづくりの歴史・ターニングポイント
1949年創業・1954年に会社設立なので、今年で創業75年を迎えます。この長い歩みの中でターニングポイントとなったのは、「クラフトテープ」の量産を始めた1961年です。それまでは、水につけて使用する「ガムテープ」が一般的で、工場で使用するには専用の機械が必要でした。また、段ボールなどに一旦貼り付けると、貼り直し(微調整)ができないというのが常識でした。ところが、弊社の「クラフトテープ」なら水につける工程が省けて、作業効率が遥かに向上するので、広く受け入れられるようになりました。また、1985年に名張工場を新設し、製造部門を1本化したことも大きな転機でした。当時は東洋一の粘着テープ工場と呼ばれたそうです。
「ものをつくる」ことの楽しみは
私たちの作った製品が、いろんなところで使われているのを目にしたときには、社会貢献ができているという実感が湧くので、やりがいとともに、物を作ることのたのしみに繋がります。また、テープは数多くの業界で使われているため、業界ごとに必要とされるテープを開発するためには、ノウハウや知識が必要になります。知識を蓄え、それを形にするには、苦労することが多いです。苦労して作った製品が店頭に並んだときや、「今まで付かなくて困っていたけど、貼り付いた!」というお客様からの声をもらえたときは、嬉しい気持ちになります。
作り手の想い -大切にしている考えや価値観-
弊社では、さまざまな商品を取り扱っていますが、その一つひとつに細かいこだわりがあり、それを支えているのは職人たちの技術もあります。例えば、いかに「切断面をきれいにするか」ということにずっとこだわり続けている職人がいるのですが、その技術は、説明して伝えられるものではなく、現場で積み上げてきた経験がなせる技なのです。そういった技術があるからこそ、豊富な商品種を扱っていながら、特定のニーズに合わせた少量生産にもしっかりと対応することができるのです。普段何気なく使っているテープにも、作り手のこだわりや愛が詰まっていることにFactorISMを通して、気づいていただけると嬉しいです。
「ものづくり」を引き継ぐために今取り組んでいること
メーカーにとって、必要だと考えていることは、商品の品質安定と挑戦です。「今まで当たり前にできていたことを、当たり前に行う」ことを大事にしています。メーカーとして、お客様からの信頼は重要だと考えているので、「菊水のテープやから安心や」と思ってもらえるように日々の業務に取り組んでおります。また、ファクトリズムへの参加も、次世代にモノづくりの楽しさや良さを伝えることができ、モノづくりに興味を持ってくれたらという気持ちで取り組んでいます。それに加えて、変化しないと生き残れないとも考えているので、新しい商品の開発や、環境配慮にも日々積極的に取り組んでいます。