こだわりの「くっつける技術」で
世の中にない「めっちゃ面白いテープ」を!
記者からのおすすめポイント
今では常識となっているクラフトテープ。私たちの家庭でも、梱包や工作など様々な場面で使用していますよね。そのクラフトテープの生みの親がこちらの菊水テープ。手間暇かけた手法にこだわり、常に新しいアイデアで、あらゆるシーンの「くっつけたい」を叶えています。ファクトリズムでは、ぜひこの身近な製品の他社にないこだわりを知ってください。
どんなものを作ってる会社?
私たちが主につくっているのは「クラフトテープ」です。一般的に「ガムテープ」とも呼ばれるものですが、ガムテープとは切手のように水につけることにより粘着力が発揮される、というものです。そういった手間を省き、幅広い用途で使えるクラフトテープを開発したのが私たちです。現在は“総合粘着テープメーカー”として、梱包用途のテープをはじめ、建築用途の養生テープ、工業用途の両面テープ、農業用途テープなど、多様な用途に応えられる製品をつくっています。その他にも特定のユーザーさんと共同開発した特注品(包装工場の機械にセットするテープやミクロンレベルの極薄テープなど)などもあり、バリエーションは数えきれないくらい豊富なんですよ。
ココに釘付け!
強みとして自信を持っているのは「粘着力」へのこだわり。弊社では1949年の創業当時から「天然ゴム」を使用し、粘着剤を自社製造しています。その違いがもっとも現れるのは、耐候性、すなわち熱に対する強さです。天然ゴムは熱をかけても粘着性を保ち続けられます。寒冷期においても同様に、より強い粘着効果を発揮します。正直、天然ゴムは製造に手間がかかりますが、「品質の高いものをお届けしたい」その想いで天然ゴムにこだわり続けています。
他社製のクラフトテープには「ホットメルト」という技術でつくられているものが多く、いわば「飴」のようなもので、熱で樹脂を溶かすことにより粘着力を発揮させるという仕組みです。ホットメルトは樹脂を溶かして紙に塗ってテープにしているので、熱をかけるとドロドロに溶けて粘着力が低下してしまいます。
モノづくりの歴史・ターニングポイント
1949年創業・1954年会社設立なので、来年で設立70周年を迎えることになります。この長い歩みの中でターニングポイントとなったのは、やはり「クラフトテープ」の量産を始めた1961年です。先ほどもお話ししたことですが、それまでは水につけて使用する「ガムテープ」が一般的で、工場で使用するには専用の機械が必要でした。また、段ボールなどに一旦貼り付けると、もう貼り直しはできないというのが常識。ところが、弊社の「クラフトテープ」なら機械不要で、作業効率も遥かに向上するということで、広く受け入れられるようになりました。また、1985年に名張工場を新設し、製造部門を1本化したことも大きな転機でした。当時は東洋一の粘着テープ工場と呼ばれたそうですよ。
これから見据える未来
近年は、世界的に機運の高まっている環境問題に積極的に取り組んでいます。「クラフトテープ」の原料である紙と天然ゴムは、生物由来の再生可能資源です。このような自然の恵みを享受する企業の使命・責務として、かけがえない環境を次代につなげていきたいと考えています。
そのための具体的な施策の一つが、テープを製造する時に発生する揮発溶剤を、約800度の蓄熱燃焼式脱臭炉に入れて自燃させ、きれいな空気にしてから大気に放出するというものです。その時に放出される熱を利用して蒸気を作り、その蒸気を工場に戻して再利用しています。このようにモノづくりの現場からも、引き続き環境問題に取り組み続けていきたいと思います。
会社を一言で表すと?
上手く言い表すのが難しいですが、「とにかく面白いことを追求したい」と思っている会社です。大切にしている価値感は「面白いかどうか」です。製造業ではコストが重要視されがちですが、それだけにとらわれるのではなく、こういうテープを出したら「めっちゃ面白いやん!」と、私たち自身もテンションの上がるものをつくりたいということを大切にしています。利益とのバランスも取らなければいけませんが、その上で「これまで世の中になかったもの」をつくることができれば良いなと。「面白いもの」だけでは成り立たないかもしれませんが、そういう商品があることで、他の商品も脚光を浴びてくるのではないかと考えています。
つくり手の想い・伝えたいこと
ここまででお話させていただいた通り、弊社では実にさまざまな商品を取り扱っています。その一つひとつに細かいこだわりがあり、それを支えているのは職人たちの技術です。例えば、いかに「切断面をきれいにするか」ということにずっとこだわり続けている職人がいるのですが、その技術について説明しようと思っても上手く言葉にできないんです。
つまり、理屈ではなくて現場で積み上げてきた経験がなせる技だということ。そういった技術があるからこそ、豊富な商品種を扱っていながら、特定のニーズに合わせた少量生産にもしっかりと対応することができる。この点に関しては、どこよりも強いという自信がありますので、ファクトリズムでも興味関心を抱いていただければうれしいですね。