“灯す(ともす)”想いは正直なモノづくり
暮らしも心も温める会社

14_シルバー

所在地 大阪府八尾市北亀井町2-7-15
TEL 072-991-2111
ホームページ https://www.silver-yao.co.jp/

代表取締役社長 平松 直人

記者からのおすすめポイント

年間140万個。この数字は、ここシルバー株式会社で作られる「ある製品」の数。それは、寒い季節に欠かせない石油ファンヒーターや、毎日使う給湯機器などの重要部品です。その膨大な数の製品は、規則正しく動く約30メートルの長さの巨大な機械を通り、最後は人の手によって仕上げられます。いつもは見えないところで“ひっそり”と、でも重要な役目を果たしているその製品。日の目を見るファクトリズムで、そこに灯っているシルバーの想いも感じてください。

どんなものを作ってる会社?

「電磁ポンプ」の研究・開発・製造を行っています。と言っても、一般の皆さんは、なかなか目にしたことがないものですよね。電磁ポンプとは、この写真のような銅線を巻いたコイルを中心に20以上の部品で構成され、灯油や油、水などの液体を電磁気学的な力で移送する製品です。例えば石油ファンヒーターでは、この電磁ポンプがタンクの灯油を一定量移送することで燃焼につながっています。他にも温水洗浄便座や石油給湯器といった、皆さんの暮らしの中のさまざまなシーンで活躍しているんですよ。

ここがスゴイ!

石油ファンヒーターの電磁ポンプでは、国内シェアが約50%。家電量販店などで並んでいる大手メーカーの石油ファンヒーターに私たちの製品が採用されています。つまり、皆さんのおうちの石油ファンヒーターにも、高い確率でシルバーの製品が入っているということ。私たちの製品がここまで認められた理由は、「自社で設計・開発から製造までできる」ということが大きいと思っています。細かな部品の製作も社内で行い、できる限り内製化しているのが特徴ですね。
そして、その内製化を実現しているのが30年以上前から導入している自動化ライン。当時は、特に中小企業の間では「モノづくり=手作業」が主流だったので、かなり思い切ったチャレンジだったと思います。でも、完全自動化ではないんです。最終の調整とかチェックとか、やっぱり人じゃなきゃできない部分がある。機械は、その人たちの負担を減らして、より良いものをつくるためにあるんです。

自慢したいプロダクトや技術

ちょっとわかりにくいかもしれませんが、電磁ポンプに「抵抗器」を利用した独自の製造方法が自慢。この電子部品の抵抗器がないと、石油ファンヒーターの中で移送する灯油の量が一定にできないんです。以前は、石油ファンヒーター本体にこの流量を調整する部品があり、器具メーカーが石油ファンヒーターごとに調整していたようです。これがとても大変な作業。「その手間を改善したい!」との要望を受けて、私たちが独自の製造方法を生み出し、電磁ポンプに抵抗器を付けることにしました。メーカーもかなり喜んでくれ、私たち自身も嬉しかったですね。こうやって喜んでもらえるのが、私たちのやりがいにもつながっているのだと思います。

モノづくりの歴史・ターニングポイント

実を言うと、当社にとって電磁ポンプ事業は、「お荷物」と言われた赤字続きの事業だったんです。当社はもともと、鋳物・金物製造からスタートして今年で95年。世界で初めてガラス繊維を使った「石油コンロ用のガラス芯」を開発し、現在では国内で使われるほぼすべての石油ストーブに当社のガラス芯が使われています。その研究開発のノウハウを活かしたのが、電磁ポンプ。しかし、コストと技術力のバランスが難しく、当時は不良品も多い事業で、採算が取れなかった。どうにかしないと! という想いで取り組んだのが、「現場の意見を尊重したモノづくりをしよう」ということ。不良品が出た時の改善案や、悪い知らせでも正直に報告できるような空気づくりから始めていきました。そうすることで、トラブルがとても少なくなって、利益率も上がって、さらに工場内の雰囲気も穏やかになりました。いくら機械が動いても、それを見るのは人。その気持ちのあり方って、本当に大切なんだなと実感しました。だから、社員みんなで、“正直なモノづくり”を続けていきたい。そう思っています。

これからチャレンジしたいこと

自社製品を作りたい!と思っています。まだ公表はできませんが、すでに開発している製品があるので、それを成功させるのがチャレンジですかね。しかし正直、私たちのような部品メーカーが自社製品を出すことに迷いはあります。あくまでも本軸は部品メーカー。完成品である機械の一部分を作ることによって、日本の暮らしを豊かにできたらなと思っています。

会社を一言で表すと?

一言で言うと、真面目で古風な会社。例えば、私たちのお客様であるメーカーと新製品を研究開発するのは3年くらいかかることが多いんですが、そこまでやるの!?っていうくらい徹底的にトライ&エラーを繰り返し、メーカーの要望を実現しようと努力しています。特に私たちが手掛ける製品は、ご家庭で使われ、火にも関係するもの。安全性にこだわりぬき、真面目で正直なモノづくりをしていることが、お客様から信頼されている理由だと考えています。

 

つくり手の想い・伝えたいこと

私たちが手掛ける製品は、決して派手な製品ではありませんし、皆さんの目に触れる製品ではありません。でも、暮らしの必需品の中に「実は使われているんです!」という製品。そういった目立たないものであっても、とことん真面目にこだわって、良いものをつくっているというのが私たちのプライドだったりします。だから、そのモノづくりをこのファクトリズムで少しでも身近に感じてもらえたら嬉しいですね。
ちなみに、最近の石油ファンヒーターは、匂いも少なく安全性も高い製品ばかり。加えて節電効果も非常に優れているのも特徴です。今年の冬は、エアコンから石油ファンヒーターに切り替えてみませんか?

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