この技と誇りを次代へ
“使う人に寄り添う”堺打刃物

42_河村刃物

所在地 大阪府堺市堺区材木町東3丁1番7号
TEL 072-232-5039
ホームページ https://choyo.kikumori.co.jp/

専務取締役 河村 大輔

記者からのおすすめポイント

今回のファクトリズムでは、「堺打刃物」の現場から3社が参加。それぞれ異なる魅力を味わえるオープンファクトリーとなっています。その中の一つ、河村刃物さんが手掛ける堺打刃物は、海外からのファンも多い逸品。そして、同社が熱く語るのは、「なんとか堺打刃物の職人さんを増やしたい」という想い。ファクトリズムでは、その鍛冶職人さんの作業風景も見学可能。ダイナミックな“火”の仕事を体感し、そこにかける熱を感じてください。

どんなものを作ってる会社?

創業以来、「堺菊守」という銘で、食のあらゆるシーンで活躍する包丁を提供し続けてきました。鍛冶職人、刃付職人と連携し、私たちは問屋業として「銘切」「柄付け」、そして最後の品質確認を行っています。近年では、海外のお客様からの注目度も高く、日本製そして堺打刃物として、その名に恥じないようなモノづくりを行い、海外へ送り出しています。

ここがスゴイ!

堺には様々な刃物屋がありますが、私たち河村刃物の一番の特徴が、「多種多様な包丁を扱っている」ということ。例えば、様々な和包丁や洋包丁、特殊包丁やパン切り包丁など。しかしこれは、単に既製品の種類が多いというだけではなく、使う人それぞれに合った“オーダーメイド”の包丁を提供しているということ。当社の包丁をつくってくれている鍛冶職人さんがよく言うんです。「僕は道具をつくってるんや。芸術品をつくってるんと違う」と。だから、「こうしてくれた方が使いやすい」「もうちょっとこの幅広げてほしい」といったお客様の要望にも細かく応えてくれるんです。そうやってでき上った包丁は、その人にピッタリ寄り添った、世界で一つの包丁になる。そして、道具としてしっかりと使えるものになる。ファクトリズムでは、この鍛冶職人さんの現場も見学していただくことができます。迫力の「火」の仕事で、鍛冶職人の魅力も味わってください。

自慢したいプロダクトや技術

自社の「堺菊守」の中でも、特に高いクオリティを誇るのが、8年前につくった「重陽」というブランドです。最高の使い心地と美しさを兼ね備えた包丁で、手間のかかる鏡面仕上げを施しています。鏡で映した菊の花をイメージしたロゴの刻印も印象的です。そして、こういったブランドをもう少し身近に感じてほしいとつくったのが「菊月」。こちらのブランドは、3種の仕上げで展開し、例えば焼き入れの際にできる酸化被膜をそのまま活かした黒色の包丁も人気です。どちらのブランドも、細部にまでプロの料理人の要望を反映し、堺打刃物特有の切れ味はもちろん、使いやすさも追求しました。例えば、包丁を持った際に指が当たる刃元と柄の間の部分(アゴ)は、角度を広げて指当たりを柔らかくしています。また、峰(包丁の背の部分)も、丁寧な面取り加工で、指を痛める心配もありません。こういった細かな気遣いは、包丁をしっかりと使っていただくことを大切にする当社だからこそのモノづくりです。

モノづくりの歴史・ターニングポイント

河村刃物が創業したのは1926年。今から96年前になります。誠実に堺打刃物のモノづくりに取り組んで来ましたが、今から約15年前頃から、堺打刃物全体が低迷期に入ってしまいました。しかしその後、海外で日本の包丁がじわじわと人気を上げていき、2016年頃からは、海外需要が一つの柱となっていきました。これが日本の包丁自体のターニングポイントにもなっているのではないでしょうか。当社でも海外のお客様からの問い合わせが多いんですよ。アメリカ、ヨーロッパ、東南アジアと世界各国から問い合わせがあり、実際に海外の包丁店でも販売しています。

これからチャレンジしたいこと

鍛冶や柄付け、銘切など、今回ファクトリズムで、その技を見せてくれる職人さんたち。今、その職人さんたちが減っています。その減っている現状を皆さんにお伝えし、私たちが職人さんへ何らかの支援をするのが今後の目標です。まだいいアイデアが見つかっていないんですが、このファクトリズムもその一環として、今回初参加させてもらいました。オープンファクトリーに参加していただいて、「鍛冶職人ってカッコイイな!」「自分もやってみたいな!」と思ってくれる人が現れたら嬉しいですね。

会社を一言で表すと?

「楽しく!」というのが一つのキーワードだと思っています。伝統産業っぽくないでしょうか? しかし、私たち自身が楽しく仕事をしていないと、お客様にも喜んでもらえない。職人さんも、暗い雰囲気の場所に来るのなんて嫌ですよね? これからどんどん時代は変わっていきますが、やはり「楽しく仕事をする」というのは、どんな時代でも変わらず大切なことだと思いますから。ファクトリズムでは、そういった仕事場の雰囲気も感じてもらえると思います。そして皆さんにも、ぜひファクトリズムを楽しんでもらいたいと思っています。

つくり手の想い・伝えたいこと

ファクトリズムで仕事場を見せていただく鍛冶職人さんも、よく言っているんです。「使ってもらってなんぼ」と。私たちもそのための包丁をつくっています。だからこそ、鍛冶職人も丹精込めて包丁をつくり、柄付けもしっかりとバランスを整えて、握りやすく付けています。さらに銘入れも、使ってくださる方のことを思って丁寧に。そして最後に、品質チェック。新聞を切って切れ味を試していくのですが、一本切れ味の悪いものを出してしまうと、当社だけでなく堺打刃物すべてがイメージダウンになってしまいます。そういった意識や堺打刃物としての誇りを持ってモノづくりに取り組んでいます。

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