カーペットを日本の文化に。
織り上げるのは絶対的に“いいもの”
記者からのおすすめポイント
「足の裏が驚いた」。そんな感覚の正体は、堀田カーペットさん自慢のウィルトンカーペット。もっちり弾力のある踏み心地は、他の床材では味わえない感触です。つくり手として、「いいものをつくる」ということに、とことんこだわり、カーペットのある暮らしを提案する同社。ファクトリズムでは、日本で数社しか見られない希少価値の高いカーペットの織り機をはじめ、カーペットの世界にたっぷり浸ることができます。
どんなものを作ってる会社?
堀田カーペットは、ウールの「ウィルトンカーペット」を中心に、ウール素材を主原料にした独自のカーペットやラグを企画・製造・販売している会社です。現在4つのブランドを展開し、カーペットの暮らしの心地よさを伝えています。当社のカーペットは、住宅用はもちろん、5つ星ホテルやハイブランド店、さらに新幹線などにも採用され、“長く美しく使えるカーペット”として愛用されています。ビジョンは、「カーペットを日本の文化にする」。本当にいいモノをつくることで、それを実現していきます。
ここがスゴイ!①
僕たちが大事にしているのは、自分たちにしかできない、“いいモノをつくる”ということ。そのために主軸としているのが、ウールの「ウィルトンカーペット」です。このカーペットは、イギリスの産業革命の時代に初めての機械化した織り機「ウィルトン織機」でつくられたもの。しかし、職人の高い技術が必要で、現在日本で主流となっているタフテッド織りと比べると極めて生産性が低い織り方。そのため、今国内で稼働しているウィルトン織機は、当社を含めて20台程度なんです。それでも僕たちが創業以来ウィルトン織機にこだわる理由、それが冒頭につながります。ウィルトン織機は、幅広いデザインや色をつくることができ、しかも、ある程度小ロットで対応できるため、自分たちが本当に良いと思ったモノづくりが可能なんです。さらにウールを使うことによって、汚れが付きにくく落ちやすいカーペットになる。僕らが良いカーペットの基準としている、“長く美しく使える”という要素も備え、まさに僕たちがこだわりたい「いいモノ」になるというわけです。
ここがスゴイ!②
「カーペットの気持ちいい暮らしを伝えていくためには?」「自分たちだからできるいいモノとは?」をひたすらに問い続け、4つのブランドで表現しています。まず一つはメインブランド「woolflooring」。空間に敷き詰めるタイプのウィルトンカーペットで、“一番気持ち良い床”をコンセプトに、ホテルや店舗、新築・リノベーションなどに使われます。次に、ウールのラグブランド「COURT」。さらにDIYを想定してつくったウールのタイルカーペットブランド「WOOLTILE」。そして、最後がブランドというよりプロジェクトになる「ACCESSORIES FOR CARPET LIFE」。このプロジェクトでは、カーペットの暮らしを広めるために、木村石鹸工業さんとコラボしたカーペットクリーナーや、羊のイラストのトランプ、羊の皮を使ったポスターなどのプロダクトを展開。カーペットを広めるきっかけとして、カーペット以外のプロダクトを通じて、お客様とコミュニケーションを取っているんです。
自慢したいプロダクトや技術
DIYカーペット「WOOLTILE」は、アキスタイルと呼ばれる織り方でつくったウールのタイルカーペット。実は、堀田カーペットにしかつくれない製品なんです。通常のタイルカーペットは、大きなロール状のものをつくって、後からそれぞれのサイズに打ち抜く方法。でも、アキスタイルは50㎝角のタイルを、なんと一枚一枚つくるんです。だから、柄も合わせやすく、好きな色や柄を選んで自分で自由にカスタムすることができます。そもそもウールのタイルカーペットっていうのが世の中にはない商品。これを僕らは自社 EC で販売していて、その中だと部屋に見立てたシミュレーションもできます。興味のある方は、ぜひパズル感覚で試してみてください。
モノづくりの歴史・ターニングポイント
創業は1962年で、ここ直近のターニングポイントは2016年にラグブランド「COURT」を発表し、その翌年には堀田カーペット全体を大きくリブランディングしたこと。ウェブサイトも全て新しいものにし、2018年にはオフィスも全部つくり替えました。そして、2019年には「WOOLTILE」を発表し、そのタイミングで自社ECもオープン。2020年には、「ACCESSORIES FOR CARPET LIFE」のプロジェクトもスタートしました。僕が社長に就任したのが2017年なので、怒涛の数年でしたね。今年は、また新しいフェーズに突入する時期かなと考え、いくつかのリブランディングも考えています。
これからチャレンジしたいこと
僕たちのミッションは、皆さんにカーペットライフを知っていただくこと。そのために、2023年には、カーペットライフを体感できる宿泊施設、カーペットルーム「ベース」をオープン予定です。いわゆるショールームではなく、カーペットを体感していただき、「フローリングではなくでカーペットを選ぼう」と思ってもらえる場所をつくります。これも堀田カーペットしかつくれない場所。完全紹介制のホテルにはなりますが、最初は大阪で、いずれは全国に展開していきたいですね。それくらいカーペットの生活は気持ちがいいですから。
会社を一言で表すと?
「堀田カーペット」です。その一言。それ以外に言いようがないんですけど、きっと社員たちが聞いたらしっくりくると思います。「なんだかよくわからない会社だな」と思われるかもしれませんが、はっきりと言えるのが、僕たちは自分たちの商品でお客様に「愛情」を伝えていきます。ですから、ストーリーとして希少価値の高いウィルトン織機でやっているというわけではなく、きちんと商品として評価されるということを大切にしています。
つくり手の想い・伝えたいこと
ただひたすらに「いいモノをつくりたい」。やっぱりそれが一番ですね。いい商品を作ることが僕らメーカーの使命だと思っていますから。そして、カーペットの暮らしやウィルトンカーペットというモノづくりの選択肢を、しっかり未来に残していきたい。それが僕らの役割なのかなと。
今回のファクトリズムでは、約6千本の糸が織られていく迫力あるウィルトン織機の様子などのオープンファクトリーに加え、タフティングと呼ばれるカーペットのワークショップを行う予定です。これをきっかけに、カーペットの良さに気付いてもらえたら嬉しいですね。