できないことなんてない!
技術と知識、つながりで実現する“楽しむモノづくり”
記者からのおすすめポイント
「いったい何の会社!?」。小泉製作所の社長にお話を聞くと、こんな印象を持ってしまいます。同社はお客様の製品開発のお困り事を解決するため、様々な業界の多種多様な製品を手掛けている会社。時には図面がないような超難題まで解決してしまう同社の一番の特徴は、社長をはじめ、社員一人ひとりがワクワク楽しみながらモノづくりにチャレンジしていること。ファクトリズムでも、参加者と一緒になって楽しむ社員の姿が見られるはず。皆さんも同社の社員に負けないくらい、モノづくりを楽しんでみてください。
どんなものを作ってる会社?
産業用ロボットやパワーアシストスーツ、コックピットに歩行器、さらに美術館の人の誘導装置、そして最新の(日本最軽量の)電動ママチャリなど。小泉製作所は、パイプを中心とした金属部品の開発で、様々なお客様のニーズに応えています。長年培ってきた精密な加工技術は、曲げ加工、プレス、溶接、研磨、表面処理などをワンストップで提供可能。お客様のモノづくりのお困り事を、高い技術と豊富な知識、そしてネットワークで解決している企画提案型の企業です。
ここがスゴイ!
とにかく「困ってるから助けて!」というお客様がたくさん来る会社。「それのどこがスゴイの?」と言われるかもしれませんが、多い時には6社/日くらいから製品開発などモノづくりの相談事が持ち込まれる。“どこもできないもの”が小泉製作所に回ってくるんです。超難題だらけですが、私たちは「やってみる」の一択。できなくて困っているお客様がいたら助けてあげたいし、そこまでの難題が解決できたら、面白いじゃないですか? それで誕生したのが、パワーアシストスーツや産業用ヘリコプター、歩行器、ロボット、コックピット、電動キックボードなど業界問わない様々な製品。お客様もベンチャー起業から大手企業まで、多種多様。それぞれに担当社員がついて、直接お客様とお話しさせてもらいます。打ち合わせを終える頃には、お客様がその社員のファンになることも(笑)。お客様ができないことを“一緒に考え”実現する。それが私たちのスゴイところ!
自慢したいプロダクトや技術
わかりやすく言うと「解決力」。製品開発で困っているお客様から私たちが必要とされるのは、その解決方法を知っているから。もちろん、自分たちがこれまで培ってきた技術や知識で解決できないこともあります。じゃあ、どうするか? それが得意な他社に聞いたり、勉強させてもらえばいい。そのもととなるのが、私が社長に就任した年に(新規営業で)配りに配った名刺。全国で年間450枚配り、人脈を広げました。これによって多くの仲間とつながり、多くの知識が増えました。だから、相談の電話があれば、各社に連絡を取って、10分くらいで解決することも。さらに、社員全員が『やってみる』『知る』ということを心掛けていることも解決力の源です。できないと決めつけずに、まずはやってみる。知識を増やして知らないことを知ることで可能性を広げる。そんな、できないことにもチャレンジするDNAが会社全体で備わっているからこそ、解決できるんです。
モノづくりの歴史・ターニングポイント
自転車用ハンドルの製造からスタートし、川崎重工業の協力工場として、オートバイのハンドル製造にかかわり続けてきました。多い時には売り上げの8割を占めていたことも。そういう状態から脱するため、2014年に社長に就任した私が、外に向かって人脈を広げ、客先を広げました。そんな時、ある大企業から、パワーアシストスーツをつくってほしいと依頼が。しかし、どう見ても無理な仕事。最初は断っていたんですが、「あっ!」と思い付いたんです。全国に広げた人脈を使って、1部品ずつ各社につくってもらい、それをアッセンブリできるのがうちの会社だ!って。それに気づいてからは、なんと1週間かからずに完成。その完成品を自分で背負ってみた時、「こんなんもできるんや!」って泣けてきたんです。お客さんもかなり喜んでくれて、本当にWin-Winな仕事でした。それから会社全体にも、「やってみる」ということを浸透させていきました。今では、川重の売上が4割程度に。その他は、こういった様々な企業のニーズに応え、喜んでいただいています。
これからチャレンジしたいこと
これからチャレンジというよりも、常にチャレンジしているのが小泉製作所。私たちの事業は、「お客様の新規事業のアシスト」ですから、お客様の予算でチャレンジしているようなもの。しかも、私たち自身もワクワク楽しんで。社員たち自身もお客様と直接接して、楽しみながら成長しています。その日々のチャレンジ中でも、さらにチャレンジするとすれば、斜陽産業などで困っている会社とタッグを組んで、売れるような製品、状況を挽回できるような製品を開発して、その会社のチャレンジを応援したい。
そして、もう一つは、このファクトリズムです。毎年新しいワークショップを用意しているんですが、今回もファクトリズムを通して、新しいものを生み出したいですね。昨年参加された方も、今年初めての方も、ぜひ楽しみにしていてください。
会社を一言で表すと?
「その製品のつくり方教えますから、お金も勿体ないし、自社でやられたらどうですか?」。相談に来たお客様に、そんなことを言ってしまうのが小泉製作所です。なぜなら、その方がお客様にとっても良いことでしょ? やれば案外なんでもできるということを、社員だけじゃなくてお客様にも伝えたい。だから会社を一言表すと、『お客様を成長させる会社』。そして、これからも一つの業界にこだわらず、いろいろな製品をつくっていきたいと思います。なぜなら、世の中には、まだまだモノづくりで困っている企業がたくさんあるから。それを解決していくのが、小泉製作所の社会貢献だと思っています。
つくり手の想い・伝えたいこと
うちの会社は、社員とお客様が仲良くなる会社です。だから、いつもお客様と一緒になって実際のモノづくりに携わる2人からメッセージを。
「私たちが心掛けているのは、お客様が想像している以上のものをつくること。そして感動を与えること。最初は2次元の図面だったものが、私たちの手で形になって、『こうなったんだ!すごくイイですね!!』と、言ってもらえる。それは私たちにとっても嬉しいことです。そして、私たち自身が楽しんでいるからこそ、お客様も楽しむことができると思っています。これはファクトリズムでも同じことですよね。ファクトリズムでは、ユニークな溶接の様子などの工場見学の他に、当社独自のワークショップも企画していますので、ぜひ一緒に楽しみましょう」