大阪で生まれた注染(ちゅうせん)。
にじみと揺らぎをまとった、粋な手ぬぐい
会社の歴史
大阪・堺が発祥と言われる、染めの手法「注染」による染色加工を展開しています。1966年の創業時は生地の染めのみを手がけていました。注文通りに染めるだけの仕事では、価格競争に終始してしまいます。職人が誇りと自信を持って取り組めるような事業形態への転換を決意し、2008年に注染手ぬぐいのオリジナルブランド「にじゆら」をスタート。日本の手ぬぐい文化を発信しています。
強み・特長
明治時代から堺で行われていた注染による手ぬぐいや布製小物において、企画力と製造能力の両方を保有しているのが強みです。糊置き、注染、水洗い、乾燥の工程を専用の機械と職人の手によって行うことで、色のにじみと揺らぎを実現。昔ながらの絵柄のほか、新進デザイナーによるデザインの手ぬぐいも企画。大阪、京都、東京に直営店舗も展開しています。
今後のビジョン
手ぬぐいはもちろん、注染を活かした商品を広く発信していきたいと思います。やみくもに商品数を増やすのではなく、注染の世界観や「にじゆら」のブランドイメージを損なわない商品づくりに留意。注染が伝統的工芸品に指定されたことを受け、「注染といえば、大阪」と思っていただけるような大阪土産の定番としても注染手ぬぐいを成長させていきたいと思います。
今回、オープンファクトリーFactorISMに参加しようと
思った理由・背景について教えてください。
注染はまだまだ広く知れ渡っている染色技術ではないと思っています。染色工場を見学したことのある人も少ないのでは。多くの人に注染の魅力を知って欲しいという思いから、今回の参加を決めました。染めの工程では、生地に染料を均等に効率良く浸透させるために、作業台の下からポンプで吸引しながら注いでいきます。染めるときは生地をじゃばらに折りたたみ、一度に数十枚染色できるように工夫されています。実は注染は、効率を求める関西人らしい手法なのです。…と、言葉で説明しても、なかなか伝わりませんよね。だからこそ、見て欲しいと思います。
オープンファクトリーイベントのプログラム構想・内容、
来場者に特に伝えたいことを教えてください。
注染の工程をじっくり見ていただきます。生地に糊を広げ、染めが必要のない部分に染料が流れ出ないように糊で土手をつくる。その中に染料を流し込む。染めがひと通り終わると、水で洗い、最後に乾燥させます。この一連の作業を職人が行っている様子を公開します。その場で注染手ぬぐいブランド「にじゆら」の商品も購入できますし、今回のイベントでしか購入できない商品も用意する予定です。工場見学がきっかけで、入社した社員もいます。「注染ってなに?」と思った人はもちろん、職人志望の方もぜひ参加してみませんか。予約不要、約30分の見学ですので、ぜひ気軽に来てくださいね。
地域を超えて企業同士が繋がる出会いに期待することを教えてください。
「にじゆら」の手ぬぐいを通して、新進デザイナーや企業とのコラボレーションにも取り組み、さまざまな可能性を模索しています。関西に本社のある飲料メーカー、関西の私鉄、老舗菓子メーカーなどとのコラボレーションによるデザインのほか、古墳をモチーフにした堺らしさを強調したデザインの手ぬぐいも手がけています。「FactorISM2021」に参加することで、企業同士のつながりも、より強くしていきたい。堺でビジネスを展開する企業として、地元に貢献したいという気持ちもありますね。
今、御社にどんな「刺激」が欲しいですか?
刺激よりも、衝撃を伝えたいかも(笑)。注染は繊細なぼかしや、にじみによる色合いが魅力の染色方法です。職人として一人前になるには時間もかかりますが、この昔ながらの染色方法を次世代にも残していきたいという思いを抱きながら、この仕事を続けています。オープンファクトリーに来ていただいた方には、当社のスタッフが注染について説明しますので、スタッフも情熱を持って、この機会を楽しんで欲しいですね。自分たちで考え、つくっていくブランド「にじゆら」を社員みんなで育てていきたいです。
御社の一番のこだわり「ここを見ろ!」を教えてください。
工場を見ていただくことで、ものづくりの臨場感を味わってください。たとえば、使用している糊の成分は海草ですが、作業中は少し海の香りを感じていただけますよ。
また、ポンプで染料を吸引しながら注ぐため、吸引の音も聞こえます。ぜひ、ものづくりの音にも注目してください。また、染めた生地は水で洗い、乾燥させます。天日状態を保った乾燥室の天井から色鮮やかな生地がはためいている場面はダイナミック。この乾燥の工程も見どころです。