相手の気持ちに寄り添う道具
"ふくさ"を守り、広める。
会社の歴史
1978年に父が自宅で創業し、最初は京都や奈良の土産物屋さん向けのタペストリー、巾着などをつくっていました。その後、「ふくさ」の製造も多く手がけるようになり、約20年前からほぼふくさ専業となっています。近年は自社オリジナルのブランド「スタイルふくさ」を展開し、有名雑貨店などでも販売しています。
強み・特長
生地の裁断から縫製はもちろん、商品の形として包装や熨斗がけまで社内で一貫してできる点や、名入れなどカスタマイズ性の高さ、小ロット対応が可能な点も大きな強み。若い人にもふくさを使ってもらえるよう自社オリジナルのデザインにも力を入れており、実用新案を取得するなど企画力にも自信を持っています。
今後のビジョン
日本の伝統文化自体が衰退しつつある今、ふくさ業界も厳しい状況に置かれています。しかし「大切なものを包む気持ち」が表れたふくさという素晴らしい文化をこれからも広めていきたいですね。他にも、記念品や名入れなどカスタマイズできるものづくりも行い、製品を使う人が自分らしいと思えるものを提供していきたいです。
跡継ぎの立場として代表になるまでに感じた会社の課題や
代表に就任し取り組んだことは?
私が入社したのは4年前。それまで全くの異業種で働いており、当社の内情を知らずに入社しました。まず驚いたのは、下請けで1社に大きく依存していたということ。その取引は今後も伸びる見込みはありましたが、他にも広く展開する攻めの姿勢が必要だと考え、自社ブランドの立ち上げを決意したんです。幸いにも初年度に有名雑貨店で取り扱っていただけることになり、今までにないものをつくれた手応えを感じることができました。
先代や先々代の社長様とのエピソードや記憶に残っている
出来事を教えてください。
先代の社長である父(現会長)は本当にモノづくりが好きで、小さい頃から私が「こういうのがあったらいいな」と言うと、便利なものを次々につくってくれたことが印象に残っています。当社で一緒に働くようになってからは、やりたいことをやらせてくれていましたが、2019年の代表就任後はその責任の重さを改めて実感し、父が長年培ってきた知恵を借りたいと考えるように。今は様々な相談をしながら、一緒に事業を進めています。
今回、オープンファクトリーFactorISMに参加しようと
思った理由・背景について教えてください。
私は異業種から入社したため、当初は自社の強みや特長を率直にとらえられていましたが、最近はこの環境に慣れ、徐々にそれがぼやけてくるのを感じていました。そこでイベントを通して自社の強みを見直し、アピールポイントを改めて考えたいと思っています。また、多くの人にふくさを紹介できる機会としても期待しています。
オープンファクトリーイベントのプログラム構想・内容、
来場者に特に伝えたいことを教えてください。
普段行っている裁断、刺繍、インクジェット印刷、縫製などを体験できるプログラムを構想中です。他に、相手の気持ちに寄り添うというふくさの役割から、「誰かに贈るものをつくる」をテーマにしたワークショップも考えています。誰かのためのモノづくりを通して、ふくさに込められた気持ちを体感していただきたいです。
オープンファクトリーイベント開催を通して、貴社の中で期待したいことなどをお聞かせください。
多くの人に来ていただくことで、「自分たちはこんなことができるんだ」と、ここで働いていることを誇りに思ってもらいたいですし、今後、みせるばやおのワークショップなどにも積極的に参加するきっかけになればと考えています。将来は自社でのワークショップや販売も行いたいので、その最初の足がかりにしたいですね。